景気の影響を受けない資産を残すための売却


 その優良物件を、2011年1月に7億6000万円で売却しました。単純に利益は4億5000万円。駄目と言われる不動産ですが、実際はこうして大きな利益を生むものなのです。
 売却の理由はいくつかあるのですが、その大きな理由のひとつに、たまたまどうしてもほしい物件が札幌市営地下鉄東豊線の始発駅のある福住地区にあったこともあります。物件については次に詳しく述べますが、売却とほぼ同時に購入の話は進んでいました。
 私は時代の大きな流れの中で、経済の下降がどんどん進んでいるということを肌で感じていました。そうした状況の中で、会社が所有する不動産は、あまり景気の影響を受けない高専賃(高齢者専用賃貸住宅)、病院、調剤、コンビニなどに特化していこうと思っていました。今回の物件は部屋数といい、規模といい、当社としてはどうしてもほしい物件だったのです。

不動産

<お金を生まないものに投資するのは愚>

 今回売却した〈北2条ビル〉は、毎年約9000万円の家賃を生み出していたわけですから、購入価格に対して家賃は十分にいただいていた物件でした。
 不動産は子育てと似ていると思います。手塩にかけて時間をかけて育てていくと、すばらしい力を発揮してくれるのです。
 この物件は本当に「孝行息子」そのものでした。私どものために文句も言わず、休みも取らず、せっせせっせと7年間、黙って働き続けてくれたのです。
そして親である私どもに、高額の利益まで置いて行ってくれたのです。こんな孝行息子・娘が、ほかにいるでしょうか? みなさん考えてみてください。今の世の中に、こんな話があるでしょうか? やはり不動産なのです。「家賃力」がいちばん信頼できるパートナーなのです。
 確かに購入したときには数千万円かけて手を入れました。そして3億3000万円で買った物件が見違えるようになったのです。
 いくら手をかけても全然意味のない、駄目な物件もたくさんあります。しかしこの物件は札幌駅近くの一等地にあり、テナントも一階には銀行が入っているという、価値ある物件です。だからこそ「手を加えれば輝く」のです。
 私が大事にしている格言に「お金を生むものには、惜しみなくお金をかけろ。そうすれば何倍何十倍にもなって返ってくる。お金を生まないものにお金をかけるのは愚」というものがあります。これは当社の経営理念にもなっていますが、この物件はまさにその格言を体現したものでした。

お金

 その証拠に2008年には「18億円で売ってください」というような話まで来たのです。当時はミニパブルのような状況で、私の会社も十分に利益が上がっていましたが18億円で売却しても購入する物件がなかったので、売却はしませんでした。毎月毎月、家賃が確実に入ってくるわけですから売る必要もないわけです。
 逆に「お金を生まないもの」とは、なんでしょうか。私はその筆頭が自宅だと思います。自宅はいくらお金をかけても何の利益も生みません。お金があり余って豪邸を建てる人がいます。それは個人の価値観だから良いことなのでしょうが、しょせん自分が寝るところは畳一枚分なのです。豪邸だと固定資産税もパカになりませんし、私なら豪邸を建てるより超一等地にビルを買って自分の名前をつけて、お家賃さんとお友達になるほうを選びます。
 経営者の中にはボロボロの建物や部屋で、従業員に声高に精神論を言う人がいますが、それは根本的な間違いです。またそういう人に限って自宅が豪邸だったりします。
 お金を生む会社にお金をかけず、お金を生まない自宅にお金をかけるなどという本末転倒な話は、私にはとうてい理解できないのです。また、私どもが一戸建て住宅にはよほどのことがない限り投資や売買をしないのも、住むための建物は購入後にお金を生まないからです。あくまでも投資は「お金を生むもの」が原則です。そして生み出されたお金をもっと大きく育て社会に流通させることが、私どもにとっても社会にとってもプラスになるのです。”